オール電化住宅には、電気温水器・エコキュートどちらかの給湯設備が必要です。
違いや価格の差がわからず、お悩みではないでしょうか。実は、エコキュートは電気温水器の一種です。ただし従来の電気温水器とはお湯を作る仕組みが違うため、区別して考えて選ぶのがおすすめです。
そこで今回は、両者の違いやメリット・デメリットなどを紹介します。ぜひトータルコストや使い勝手を考えて、ライフスタイルにピッタリ合う設備を選んで下さい。
電気温水器とエコキュートの違い
電気温水器とエコキュートの違いは、熱を作り出す仕組みと、外見的な違いはヒートポンプユニットの有無です。
【電気温水器】
家庭に設置する一般的な電気温水器には、ヒーターが内蔵されています。電気の力でヒーターを温め、電気温水器内に貯めた水を温めてお湯にするという仕組みです。
電気温水器のタイプは、3つに分かれ・給湯専用・セミオートタイプ・フルオートタイプがあります。
■給湯専用
給湯専用タイプの電気温水器の機能は、とてもシンプルでお湯はりから完了までの機能しかありません。保温や追い焚き機能はついておらず、光熱費を抑えられます。
導入時の初期費用も安く、シンプルに使えるため、湯船にあまりつからない方やシャワーで済ませることの多い方にはぴったりなタイプといえるでしょう。
■セミオートタイプ
オートタイプの電気温水器は、お湯はりを自動で行うタイプのものです。
保温や追い焚きといった機能はついておらず、差し湯や足し湯も手動で行わなければなりません。
しかし、次に紹介するフルオートタイプよりもシンプルな構造で、故障のリスクが低く、長持ちします。
保温や追い焚き機能がついていない分、フルオートタイプよりもランニングコストも低いです。
お湯はり後すぐにお風呂に入る方や、差し湯や足し湯を手間と感じない方は、セミオートタイプでも充分かもしれません。
■フルオートタイプ
フルオートタイプはボタンひとつでお湯はりから保温を行ってくれる優れもの。
水位やお湯の温度が一定以下になると、自動で足し湯や追い焚きをしてくれる機能もついています。
フルオートタイプの電気温水器を導入すれば、いつでも快適にお風呂を楽しめます。
お風呂に入るタイミングがばらばらの家庭や、家事の手間を省きたい方にはぴったりのタイプです。
ただし、ランニングコストは高くつきますし、機能が充実している分内部構造は複雑で、故障が起きやすいというデメリットもあります。
【エコキュート】
エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯タンクがセットになった設備です。ヒートポンプユニットはエアコンの室外機のような見た目をしています。
ヒートポンプユニットには、外気を集めて電気の力で熱を作り出すシステムが内蔵されています。ヒートポンプユニット内で作り出した熱で水を沸かし、貯湯タンクにお湯を貯めるという仕組みです。
※「エコキュート=自然エネルギーを活用してお湯を作る=環境保護に貢献できる」ため、国や自治体は補助金制度を実施して導入を促進しています。
ちなみに、ガス給湯器と電気温水器・エコキュートの大きな違いは、以下のとおりです。
・ガス給湯器:お湯を使うときにお湯を沸かす
・電気温水器・エコキュート:あらかじめ使うお湯の量を設定し、電気代が安い時間帯にお湯を沸かして貯めておく
電気でヒーターを温めてお湯を沸かす電気温水器よりも、エコキュートでは効率良くお湯を沸かせます。
電気温水器と比較すると、エコキュートの消費電力は約3分の1と節約にもなります。
ライフスタイルによって向き、不向きがあるため、迷ったときは業者等に相談しましょう。
電気温水器・エコキュートのメリット・デメリット
電気温水器・エコキュートどちらも高額な設備です。価格だけで判断せず、使い勝手の良い方を選ぶのがおすすめです。
電気温水器のメリット・デメリット
電気温水器の主なメリットは、以下のとおりです。
・電気料金が安い時間帯(主に深夜)に稼働するので、電気代が安い
・設置する機械が1種類なので、設置スペースを確保しやすい
・エコキュートよりも寿命が長いため、交換コストを抑えられる
・災害時にもお湯が使える
・稼働音が静か
一方で、デメリットは以下のとおりです。
・貯湯したお湯を使い切ると、お湯を作るのに時間がかかる
・水圧が弱いと感じる人が多い
水圧が弱い理由は、瞬間式であれば給水圧と給湯圧はほぼイコールなのですが、貯湯式電気温水器では貯湯タンクに水を貯める際に低い水圧で水を引き出すよう設定されているからです。低い水圧のまま給湯も行われるため、「シャワーやキッチンの蛇口から出るお湯の水圧が弱い」と感じるケースがあります。
エコキュートのメリット・デメリット
エコキュートのメリットは、以下のとおりです。
・外気の熱を活用するため、電気温水器よりさらに電気代が安くなる
・導入、交換時に補助金がもらえる可能性がある
・家庭で地球環境保護に貢献できる
エコキュートでは、ヒートポンプユニットで大気中の熱エネルギーを利用して、電気温水器よりも効率良くお湯を温められます。
消費電力は電気温水器の約3分の1です。
消費電力が少ないため、視野を広くすると環境にやさしい給湯器であるといえます。
一方で、デメリットは以下のとおりです。
・設置する機械が2種類なので、設置スペースの確保が必要
・機械から低周波が発生するため、設置場所や設置方法によって騒音トラブルが起きた事例がある
・貯湯したお湯を使い切ったときに不便、水圧が弱い点に関しては、電気温水器と同じ
エコキュートを取り付ける際、貯湯タンクに加えてヒートポンプユニットを設置するスペースが必要になります。電気温水器の設置場所よりも大きな場所を確保しなければなりません。
また、電気温水器と比べて、エコキュートの本体価格は高く設定されています。
さらに、最初の導入時には追加工事が必要になる場合も多く、工賃もかさみます。
電気温水器、エコキュートどちらが安い?
電気温水器・エコキュートどちらも、「使用期間をトータルしてコストが安い」と言われている設備です。両者のトータルコスト(初期費用、電気代など)を確認しましょう。
初期費用を比較
4人家族のご家庭に設置する一般的な製品の初期費用を、工事費込みで紹介します。
・電気温水器:30万円ほどが目安
・エコキュート:60万円ほどが目安
エコキュートも、貯湯タンクが小さくてOKなら30万円ほどから選べます。初期費用は販売店や工事業者によって違うため、複数から見積もりをとって納得できる価格&サービス内容の業者を選びましょう。
電気代を比較
電気温水器・エコキュートが稼働するために、どれくらい電気代がかかるのかを比較します。
電気温水器:月6,000円が目安
エコキュート:月2,000円が目安
従来の電気温水器からエコキュートに交換すると、10年間で480,000円ほどの電気代を節約できる計算になります。
エコキュートは電気温水器よりも初期費用が高額ですが、トータルコストを考えるとお得になる可能性が大いにあります。
ただしエコキュートの寿命は10年〜15年と言われています。寿命を縮めないよう、点検やメンテンナンスをしっかり行うのがおすすめです。
電気温水器、エコキュートの電気代を節約する方法
電気温水器やエコキュートの電気代は、電気契約プランに大きく左右されます。以下の場合には、電気契約プランを見直しして下さい。
・電気代が予想よりも高い
・電気温水器↔エコキュートのリフォームをした
・家族構成やライフスタイルが変わった(同居を初めて日中も電気を使うようになった等)
具体的な電気料金は、電力会社に問い合わせるとシュミレーションをしてくれます。
家計にも地球にもやさしいエコキュートに交換しましょう
電気温水器と比べて、エコキュートは約3分の1の消費電力のため、大幅に電気代を節約できます。
CO2削減にも寄与し、地球にも家計にもやさしい給湯器といえるでしょう。
エコキュートの本体価格は電気温水器の2倍以上と高額で、導入時にはまとまった金額が必要になります。
しかし、電気代が大幅に節約できるため、定期的に点検やメンテナンスを行い、長く使えば使うほどお得になるのです!
設置から10年以上経過した電気温水器を使っていたり、電気温水器の不調を感じていたりする場合は、この機会にエコキュートを導入してはいかがでしょうか?